あとがき
もし仮に誰かが
「これ、ウチのことですか?」
なんて聞いてきたとしたら、
それはもう、名乗ったのと同じ。
私は誰の名前も書いてへんし、
誰って言うつもりもない。
心当たりがある人ほど、こういう記録に反応してしまうんやろね。
そして最後にどうしても言いたい。
結局な、一番怖いのは声を荒げる人でなく、
「黙ってる人」。
本人は「自分は関係ない」と思ってる。
でもその沈黙が、私らみたいな人間にどれだけ負担かけてきたか。
現場に感謝はされてた。
ただそれは、仕事への評価というより
「爆破防止装置」が外れたら困るという意味やった気がする。
その防止装置が結局、爆破したけどな。
上に逆らわれへん気持ちは分からんでもない。
でもな?
そういう人ほど、見て見ぬふりをして、
「気にせんと頑張り」みたいな安い励ましだけ置いていく。
ある人は言うた。
「Aさんにイライラしたら帰りや?」
別の人は言うた。
「誰かカスの投書入れたったらええねん」
また別の人は言うた。
「あなたが言わないとカスさんは分からんで」
…………ちゃうやろ。
あんたらがやりなさいよ。
「あんまり波風立てんと…」と言う人もおった。
じゃぁ1回あの席に座ってみて。
大きなため息。
エンターキーの連打。
無意味なフォロー。
急な丸投げ。
ほとんどの人が一週間で病むわ。
泣いてたのも、怒ってたのも…
分かってたやろ。全員。
定期的に聞き飽きた言葉がある。
「あ、俺も嫌われた」
ん?好かれたかったのか?
媚びてまで好かれたい守られたいということは、
いつか投げ出される土俵に自ら入ったということ。
私は投げ出される前に降りた。自分守るためにね。
上司の異動が確定したあと、
何も知らない人たちの間では、
よからぬ噂になり、
何かを知っている人たちは、
私が次にどう動くのかを、
ただ眺めていた。
この件だけじゃないんだわ、
私が巻き込まれた出来事を、
娯楽のように傍観していた人たちへ。
「わしゃモルモットか」
最後に私を助けてくれたのは、
結局、私自身だけやった。
あの場にいた人間は、
誰も、自分の手を汚さんかった。
それを、私は
「保身」と呼びましょう。
黙ってるからあんな人間が育つ。
そして、その現場の空気を一緒に作っていたのは、
本当は誰だったのでしょうか。
※本稿は、筆者の実体験に基づくノンフィクションです。
登場人物・団体を特定する意図はありません。